■京焼・清水焼
全国の陶器の名前は、その焼かれている地域にちなんで付けられることがほとんどですが、京焼も京都で焼かれたものを示して呼んでいます。
その中でも清水焼以外を京焼と呼ぶこともあるようですが、広い意味ではすべてを含みます。
京都の焼き物、と聞くと、どのようなものを想像するでしょうか。
おそらく京都のイメージに合った、洗練された美しい器などを思い浮かべると思いますが、それでおおかた間違いありません。
京焼の特徴は、技術と技法の多様性、華麗な美しさにあります。
京焼きには、色絵陶器から染付け磁器、青磁、白磁、金襴手、さらには中国風、朝鮮風、瀬戸風、信楽風、美濃風、など、まるで全国の陶器を一堂に集めたかのように全てが揃っています。
それは、長い間、日本の文化の中心を担ってきたことで、全国から焼き物に関するあらゆる技術や作品が京の都に流れ込んできたためと考えられます。
地方の窯業地帯では、どうしても独自の技術に頼る部分が多大にあったのに対し、京都の陶工は幅広い技術や感覚に接することができました。
そして今日の総合的な京焼の美しさにつながっているのです。
現在、京焼はその作風を特定しにくい、とも言われますが、京焼の最大の魅力はやはり華麗な色絵と染付けでしょう。
江戸時代の名工、野々村仁清(にんせい)に始まり、のちの名工たちが磨き上げてきたその趣向は、今も京焼のなかに息づいています。
清水詣でに出かける機会があったら、清水寺へ続く坂道の途中で陶磁器みやげを探してみてはどうでしょうか。
■赤膚焼
全国の陶器には、有田焼や九谷焼のように独特の作風で区別されるものもありますが、奈良県の赤膚焼(あかはだやき)は作風の違いによって区別されるのではなく、原料の土の産地が同じならこの名前で呼ばれています。
赤膚焼の土は鉄分を多く含んでいるため、焼きあがると器肌がほんのり赤くそまります。
そこから赤膚焼と呼ばれるようになった、と言われていますが、もう一説、奈良県の五条山がかつては赤膚山と呼ばれていたから、とも言われています。
赤膚焼を特定するような作風をはっきりさせるのは難しいのですが、もっともポピュラーなものは萩釉(はぎゆう)に奈良絵をほどこしたものでしょう。
萩釉は萩焼から伝わったものといわれ、もったりと器全体を覆う乳白色が、素地のほんのりとした赤みとよくマッチしています。
奈良絵というのは、赤、黄、緑などの明るい色で、人物や家、鳥居、鹿などをユーモラスなタッチで描くものです。もともと奈良絵はお釈迦様の前世や現世を絵物語であらわしたものですが、赤膚焼の器の上では、かわいらしい絵として描かれています。
また、萩釉と奈良絵を用いた焼き物以外には、並釉(なみゆう)、黒釉、なまこ釉などを使い、絵付けのないものもあれば幾何学模様を施したものもあります。
現在、赤膚焼を焼いている窯も、それぞれに独自の工夫を加えており、赤膚焼に対する主張も灰釉を用いることであったり奈良絵を施すことであったり、赤膚でできたものはすべて赤膚焼だ、という考えであったりとさまざまです。
しかし、やはり特徴的なかわいらしい奈良絵が、全国の陶器の中でも赤膚焼ファンを集めている大きな要因となっているのは間違いなさそうです。